23日の中国共産党・第20期中央委員会第１回全体会議（１中全会）で総書記の３期目続投が正式に決まった習近平氏は同国の将来に楽観的な見通しを示した。
習氏は共産党の40年間の取り組みによって中国は急速な経済発展と社会の安定を実現したと述べた上で、経済を一段の開放し諸外国とのつながり維持していくと表明。共産党は国民の利益に合致する優先施策を実施し、引き続き国民に「より良い生活」をもたらすために懸命に取り組むとした。
習氏はその上で中国経済について、「力強いファンダメンタルズは変わらない」とし、「長期的にプラスの軌道にとどまるだろう」と語った。
習近平総書記（国家主席、10月23日）
Source: Bloomberg
習氏は長期政権をにらみ最高指導部に自らに近い党高官を昇格させた。しかし多くの中国ウオッチャーは69歳の習氏がもたらす安定性を称賛するよりもむしろ、習氏が誤った場合にブレーキをかける人がいないのではないかと懸念する。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校のビクター・シー准教授（政治学）は最高指導部メンバーについて、「習氏に全面同意し、常に習氏の立場を支持することで指導部に昇格した人ばかりだ」とし、「習氏の判断の理非にかかわりなく、異議を唱えることはしないだろう」と指摘した。
週明け24日午前の中国市場は下落。投資家は習氏側近で構成された新たな最高指導部に失望感を示した。中国本土銘柄から成るハンセン中国企業株（Ｈ株）指数は一時５％強下落。オフショア人民元は一時0.7％安の１ドル＝7.2782元と、先週記録した過去最安値に迫った。中国人民銀行（中央銀行）は人民元中心レートを１ドル＝7.1230元に設定。このところ続いていた7.11元近辺から元安方向にシフトさせた。
今年のロシアによるウクライナ侵攻は独裁体制のリスクを浮き彫りにした。中国が台湾に武力侵攻する可能性が高まっているとの指摘が米国から相次いでいるものの、習氏が近く台湾侵攻の準備に取り掛かる兆候は見られない。しかし中国の政策決定において習氏のイデオロギーが一段と支配的になっている。
習氏は「共同富裕」の名の下に民間セクターを締め付けてきたほか、世界の潮流に反してゼロコロナ政策を維持。米国に対抗する中で安全保障に注力してきた。中国外交政策を専門とするシンガポール国立大学の荘嘉穎準教授（政治学）は習氏への権力集中により、近隣諸国との領有権問題の悪化や主要国との緊張の高まりは避けられないだろうと分析。
権力集中は「世界の直面するリスクを一段と高める」とし、「中国の領有権の主張は強まると予想される。こうした路線は続き、習体制の下では弱まることはないだろう」と指摘した。
党のナンバー２には上海市トップの李強党委員会書記が抜てきされ、次期首相就任が濃厚となった。この人事は中国が向かう方向の最終的な試金石となる可能性がある。李氏は上海市トップとして企業に配慮した政策を講じてきたと評価されているものの、中国有数の経済都市上海に今年３月末から２カ月のロックダウン（都市封鎖）を実施し、深刻な食料不足や医療機関にかかりにくい状況に直面した市民らの強い反発を招いていた。
李強氏
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シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院の客員上級研究員、ドルー・トンプソン氏は「習氏は極めて忠実な部下に囲まれている」とし、李強氏の抜てきは「党の目標への狂熱的アプローチ」を象徴していると述べた。
原題：Xi’s Total Control in China Injects More Risk Into Chaotic World、Xi’s Total Control in China Injects More Risk Into Chaotic World、Chinese Markets Tumble as Xi’s Tightening Grip Alarms Investors、Onshore Yuan Weakens as PBOC Eases Fixing After Congress（抜粋）
(６段落目に24日の中国市場情勢を追加して更新します)
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2022-10-24 01:16:32Z
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