【ワルシャワ=上地洋実、ワシントン=蒔田一彦】ロシアが一方的に併合したウクライナ東・南部4州で20日、ロシアによる「戒厳令」が発効した。ロシアが一方的に任命した4州のトップに、財産の接収や一時的な移住の強要、通信の監視などの強制措置を講じる権限が付与され、露軍による支配が強化される。
4州対象の戒厳令は、プーチン大統領が19日、大統領令に署名した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日夜のビデオ演説で、「敗北が近づいているロシアのヒステリーだ」と非難した。ウクライナ外務省も「無効でウクライナや国民に何の法的な影響もない」とし、「ロシアの占領に反対する住民の抵抗運動を抑圧するものだ」と批判した。
戒厳令には、露軍による4州への統制を強める狙いがあるとみられる。南部ヘルソン州ではウクライナ軍の攻撃激化を名目にした住民の強制移住が始まっており、これを正当化する意図もにじむ。
プーチン氏は戒厳令と同時に、ロシア全土の警戒態勢を強化する大統領令にも署名し、地方政府に「必要に応じ」戒厳令に関する法律に規定された措置を独自導入できる権限を付与した。
9月21日の予備役の部分的動員発令を機に露国内で噴出した政権への不満の封じ込めに使うとの見方が出ている。大統領令は領土防衛組織の設置も指示した。軍事・経済両面で国民を総動員する法的枠組みを整えたとみられている。
米国のバイデン大統領は19日、ホワイトハウスで記者団に「プーチン氏が使える唯一の手段は、ウクライナ市民を残虐に扱い、脅して屈服させようとすることのようだ」と指摘した。
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2022-10-20 17:01:00Z
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