
【カイロ=久門武史】イスラエル国会は13日、左右両派など8党による新たな連立政権を承認し、国防相などを歴任したナフタリ・ベネット氏(49)が首相に就任した。連続12年、通算15年首相を務めたネタニヤフ氏は退陣した。2年以上に及ぶ同国政治の混乱に一定の区切りをつけた。
第2党の中道「イェシュアティド」のラピド党首が主導した連立交渉で、2日に野党8党が政権樹立に合意していた。右派政党「ヤミナ」党首のベネット氏がまず首相に就き、約2年後の2023年8月にラピド氏に交代する首相ポストの輪番制をとる。それまでラピド氏は外相を務める。
13日の国会(定数120)での投票は賛成60、反対59、棄権1でかろうじて賛成多数となる際どい結果だった。ネタニヤフ氏は右派の議員の切り崩しを狙ったが、不発に終わった。
ベネット氏は13日、国会での演説で国内の融和を訴える一方「イスラエルはイランの核武装を認めない」と強調し、イランとの対決姿勢を維持する方針を示した。ネタニヤフ氏は「下野する宿命なら、この危険な政権を倒すまでそうする。そして再び国を率いる」と早期の政権復帰に意欲を示した。
新政権には右派、中道、左派に加え同国で初めてアラブ系政党が連立に入った。歴代最長となったネタニヤフ政権に終止符を打つことを除けば政策的な一致点は乏しく、特にパレスチナ問題を巡る溝は深い。
ヤミナはパレスチナ国家の樹立を認めず、イスラエルによる占領地でのユダヤ人入植活動を支持してきた。ネタニヤフ氏以上に強硬との見方もある。パレスチナと融和的な左派とは隔たりが大きい。閣内の不協和音を生む問題には手をつけず、異論の少ない経済対策や予算案の成立を優先する可能性が高い。
新政権発足についてパレスチナ自治政府は「(ネタニヤフ政権に比べ)政策に違いはなく、さらに悪くなる可能性もある」との声明を出した。
2年で4度目となった3月の総選挙では、ネタニヤフ氏の右派与党リクードが第1党を維持したが、支持勢力と合わせても過半数に届かなかった。自らの汚職疑惑への批判も強く、連立工作にも失敗した。5月、代わってラピド氏がリブリン大統領から組閣指示を受けていた。
ネタニヤフ氏は収賄、詐欺、背任の罪で19年に検察に起訴され公判中だ。在任中はパレスチナに強硬姿勢をとり、イスラエルによる占領地でユダヤ人入植地を拡大した。最近では5月にパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとの交戦で250人以上が犠牲になった。
敵対するイランと対決姿勢を貫く一方、20年にはアラブ首長国連邦(UAE)など対立してきたアラブ諸国と相次いで国交を樹立した。新型コロウイルスワクチンの接種を世界屈指の速さで進め、行動規制をほぼ解除した。実績として評価する保守層の支持が強い一方、汚職疑惑で退陣を求める声も大きく、政治の混迷が長引く背景となった。
【関連記事】
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiPGh0dHBzOi8vd3d3Lm5pa2tlaS5jb20vYXJ0aWNsZS9ER1haUU9HUjEzMkxTMFQxMEMyMUE2MDAwMDAwL9IBAA?oc=5
2021-06-13 18:00:27Z
52783359390836
Tidak ada komentar:
Posting Komentar