【ニューヨーク=山内菜穂子、ワシントン=芦塚智子】米最大都市ニューヨークで22日、11月の市長選に向けた民主、共和両党の予備選が行われた。投票終了後、ただちに開票され、民主党では開票率が84%に達した同日午前3時(日本時間午後4時)時点で、ブルックリン区長のエリック・アダムス氏が得票率31・7%で先行する。順位を付けて複数の候補者に投票する新たな投票方法を導入しており、結果確定には時間を要する可能性がある。
ニューヨーク市は2020年の米大統領選でバイデン大統領が7割超の票を獲得するなど、民主党が強い基盤を持つ。同党予備選を勝ち抜いた候補者が11月の本選挙でも当選する可能性が高い。共和党の予備選ではカーティス・スリワ氏が勝利する見通しとなっている。
得票率でリードするのは警察官を20年以上務めた経験から治安対策の強化を訴えるアダムス氏。同氏を追うのは2人の女性候補だ。
2位(22・3%)のマヤ・ワイリー氏は民主党のオカシオコルテス下院議員の支持を得たことで同党左派からの票を期待する。3位(19・5%)の前市衛生局長のキャサリン・ガルシア氏は市政での豊富な経験が売りだ。米紙ニューヨーク・タイムズなどの支持表明後、マンハッタンを中心に支持者を増やした。ワイリー氏かガルシア氏が勝利すれば、初の女性市長となる。
アジア系住民らを中心に根強い支持があった台湾系起業家のアンドリュー・ヤン氏は22日夜に敗北を宣言して撤退した。持論のベーシックインカム(最低所得保障)を導入し、経済的に困窮する市民に年間平均2000ドル(約22万円)を支給すると公約に掲げていた。
今回の予備選を勝ち抜いた候補は11月2日の本選を経て、2022年1月に市長に就任する予定だ。地元テレビ局の6月の世論調査では、現在のデブラシオ市長の不支持率は47%と支持率(37%)を上回る。
新市長は選挙戦の争点である治安対策はもちろん、経済対策やコロナ禍が広げた格差問題、人種差別問題などで重責を担うことになる。
予備選では新たな投票方法「優先順位付き投票」も注目される。有権者は最大5人の候補者を1位から5位までの順位をつけて選ぶ仕組みだ。
開票では「第1選択」で過半数を得た候補者がいた場合、当選となる。だれも過半数を得られない場合は、第1の得票が最も少なかった候補が除外される。除外された候補者の得票は、その有権者が次に選んだ候補に割り振られる。候補者が2人に絞られるまでこの集計作業は続く。
コロンビア大のエスター・ヒュークス教授(政治学)は「有権者の意向をより結果に反映することができる。女性や人種などより多様な候補者が立候補し、当選することにもつながる」と意義を説明する。
新投票制度の導入や期日前投票の集計などにより、大勢の判明までには時間がかかるとみられている。地元メディアは結果の確定まで「数週間かかる可能性がある」と伝えている。
国政にも余波
民主党の牙城での予備選は国政にも影響を与える。同党は20年大統領選予備選で中道派のバイデン氏を選び、その後の州知事選予備選などでも中道派の勝利が目立つ。同党左派はワイリー氏を後押しし、党内での影響力拡大を狙う。
治安対策を巡る有権者の判断も、政権や連邦議会での警察・司法改革の議論に影響を与える可能性がある。
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2021-06-22 22:20:36Z
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