<2016年の大逆転劇を支えたのは民主党支持者が多い黒人の投票率の低さだった。今年も同じシナリオを望むのは厳しそうだ>
米大統領選は投票日の11月3日に向け、最終盤戦に突入した。支持率で民主党のジョー・バイデン候補にリードされる共和党のドナルド・トランプ大統領は、「2016年の大統領選の大逆転劇よ、もう一度」とばかり、接戦が予想される激戦州を精力的に遊説中だ。
その激戦州のなかでも、前回の大統領選でトランプの勝利を決定づけたペンシルベニア州が今回も勝敗の鍵を握ると見られている。
トランプがペンシルベニア州で勝利するには、同州最大の都市フィラデルフィアで黒人有権者の多くが棄権する必要があると、ブッシュ父子の選挙参謀を務めた政治コンサルタントのカール・ローブは言う。
米政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が算出した世論調査の平均を見ると、今のところペンシルベニア州でもバイデンがトランプをリードしている。
2016年の大統領選では、重要な激戦州をはじめ全米の多くの州で、黒人の投票率が2012年より低かった。トランプが僅差で民主党のヒラリー・クリントンに勝てたのは、そのおかげだとアナリストらは指摘する。ちなみにバラク・オバマ前大統領は2008年と2012年のいずれの大統領選でもペンシルベニア州で勝利している。
共和党支持の黒人はわずか
黒人有権者は民主党の重要な支持基盤とみなされている。民主党の予備選でバイデンが勝てたのも、黒人票をつかめたからだ。ローブによれば、トランプがペンシルベニア州で勝つには、フィラデルフィアで黒人の投票率が「2016年レベル」にとどまることが必須だ。
トランプがペンシルベニア州で勝つには「3つの条件」が必要だと、ローブはFOXニュースの番組で28日に語った。「フィラデルフィア、特に黒人住民の多い地域で、黒人の投票率が低いこと、2016年にトランプが勝った州内の選挙区を今回も押さえること、そしてそれらの選挙区でバイデンに大きく差をつけることだ」
コーネル大学ローパー世論調査センターの調べでは、2000年以降、黒人有権者の91%が民主党の大統領候補に投票してきた。共和党の候補に投票した黒人は8%だけで、2016年にクリントンが敗北したのは多数の黒人有権者が棄権したためだと見られている。
「オハイオ、ペンシルベニア、ノースカロライナ各州、そして特にウィスコンシン州では、2016年に黒人の投票率が低く、加えて多くの場合、白人の投票率が上がる傾向があった。そのため2012年における(民主党の)優位が2016年には失われるか、逆に(共和党に)有利に働いた」と、ブルッキングス研究所は米国勢調査局のデータを基に分析している。
ピュー・リサーチセンターによれば、全米規模でも2012年の大統領選では67%だった黒人の投票率は2016年には60%に低下していた。
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2020-10-29 08:30:00Z
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