29日、バイデン前副大統領の「ドライブイン集会」には長蛇の自動車の列ができた(南部フロリダ州タンパ)
【タンパ(米南部フロリダ州)=中村亮】11月3日投開票の米大統領選に向けて民主党候補のバイデン前副大統領と共和党のトランプ大統領は29日、激戦の南部フロリダ州タンパでそれぞれ選挙集会を開いた。新型コロナウイルス感染防止のため入場制限をかけたバイデン氏に対し、トランプ氏は大規模集会で熱狂をあおった。
「招待状は持っていますか」。29日、バイデン氏の集会の会場周辺では長蛇の自動車の列ができ、入り口では陣営関係者がこう尋ねていた。バイデン氏はコロナ感染防止のため支持者が車に乗ったまま演説を聞く「ドライブイン集会」を行っている。有権者の健康と対話を両立させる方法だと主張している。
一方、この集会方式は副作用を生む。集会開始の1時間前、陣営関係者が会場の入り口を突然閉鎖した。収容能力が限られ、大統領警護隊(シークレットサービス)が上限に迫ったと判断したためだ。支持拡大を目的とする集会での入場打ち切りは異例の措置だ。1時間以上待って入場できなかった60代のクリスティン・スペートさんは「将来の大統領に会いに来たのに……」と困惑気味に帰路についた。
バイデン陣営は参加者を「招待客のみ」と説明する。関係者によると、主に陣営のボランティアやその親族や友人が対象だという。内輪集会の感が否めず、支持層拡大や投票率向上の効果は未知数だ。予備選からバイデン氏を支持し、29日に同氏へ期日前投票をしたルイスさん(63)は「彼がタンパにきょう来るなんて知らなかった」と驚いた。
29日、トランプ米大統領の集会に数千人の支持者が駆けつけた(南部フロリダ州タンパ)
一方、トランプ氏は好対照の選挙集会を開いた。早朝から会場周辺に熱狂的な支持者の列ができ、数千人が集会に駆けつけた。猛暑のため集会開始前に体調を崩した支持者の救護に医療チームが少なくても3回出動。トランプ支持者のコロナへの懸念は薄く、トランプ陣営の配布物で目立ったのはマスクではなくペットボトルの水。陣営が参加者にスプリンクラーで水を浴びせるパフォーマンスもあった。
トランプ氏が登場すると地鳴りのような「USA、USA!」の大合唱が起きた。集会終了後にはトランプ氏が定番の音楽「Y.M.C.A.」に合わせたダンスを壇上で披露し、支持者がまねた。コロナはインフルエンザと同じだと豪語する医療関係者のディアナ・フェデロビッチさん(64)は「コロナ拡大後になかった久しぶりのお祭りだ」と集会を楽しんだ。
両氏の選挙集会には一長一短がある。バイデン氏は課題である支持者の熱狂度の引き上げができているかが微妙だ。米ピュー・リサーチ・センターの10月の調査によると、バイデン支持者のうち「バイデン氏を強く支持する」との回答は57%。トランプ氏に比べて11ポイント低かった。共和党関係者は「熱狂を欠けば投票率の大きな向上は難しい」と指摘する。
トランプ氏の大規模集会はコロナ拡大の原因になりうる。多くの支持者は「屋外だから感染リスクは低い」と主張したが、バイデン氏の支持者は「科学に基づかない大規模集会を開くべきではない」と指摘した。トランプ氏は集会で支持基盤の結束につなげられる半面、コロナ感染を警戒しやすい女性への支持拡大を妨げるリスクをはらむ。
大統領選でフロリダ州を落とせないのはトランプ氏だ。29人の選挙人を抱えるフロリダ州でトランプ氏が敗北すればその穴埋めは難しく再選が遠のく。フロリダ州は投開票日の22日前から急増する郵便投票を集計できる。11月3日の投票終了後、早めに結果が判明する可能性があり、開票序盤の大きな焦点になる。トランプ氏がフロリダ州で勝てば大接戦の可能性が高まる。
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2020-10-30 04:00:00Z
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