イスラエル、スーダン首脳と電話するトランプ米大統領(23日、ホワイトハウス)=ロイター
【カイロ=久門武史、ワシントン=中村亮】スーダンとイスラエルが23日、国交正常化に合意した。トランプ米政権によるアラブ諸国とイスラエルの仲介は3カ国目。テロ支援国家指定の解除という実利を引き換えに、国交正常化のドミノをさらに一歩広げた。再選を目指す11月3日の大統領選を前に、外交成果のアピールを狙うトランプ米大領の焦りがにじむ。
「すばらしいディール(取引)だ」。トランプ氏は3カ国が正常化合意を発表した23日、こう強調した。トランプ政権の仲介でイスラエルと正常化合意したアラブ諸国はアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンに続き3カ国となる。
トランプ氏はさらに「少なくとも5カ国ある」と述べ、さらなる国交正常化ドミノの拡大に意欲をみせた。大統領選で再選し、約束通りにドミノ拡大を実現すれば中東の新たな秩序づくりにつながる可能性もあるが、アラブのリーダーを自任するサウジアラビアは慎重姿勢を崩していない。
スーダンには8月にポンペオ米国務長官を派遣し、9月にはスーダン首脳が訪問したUAEで実務協議を進めた。11月3日の米大統領選を前に、外交成果の積み上げを急ぐ焦りが透ける。
3カ国の共同声明によると、イスラエルとスーダンはまず農業を重点分野として経済関係の構築を目指す。農業技術や航空などの協定締結へ交渉に入るとし「スーダンやイスラエル、中東、アフリカの人々に新たな可能性を開く」と強調した。
スーダンは1人当たり国内総生産(GDP)が1千ドルに満たず、4万ドル近い産油国のUAEと比べて相乗効果は限られる。イスラエルや湾岸諸国のようにはイランを脅威とみておらず、安全保障の意味合いも薄い。米国によるテロ支援国家の指定解除こそが、最大の実利とみられたのはこのためだ。
スーダンは2019年までバシル政権の長期独裁下にあり、深刻な経済不振に陥った。11年の南スーダン独立で石油生産量が急減し、今夏のナイル川の大洪水の被害も大きい。国際通貨基金(IMF)によると19年の経済成長率はマイナス2.5%、インフレ率は50%を超えた。
テロ支援国家の指定解除でIMFなど国際機関の資金支援が期待できるが、スーダンはイスラエルとの国交とは関連付けない構えだ。ハムドク首相は23日、指定解除について「トランプ大統領に感謝する」と、国交正常化には触れずにツイッターに投稿した。
スーダンは19年にバシル政権がクーデターで崩壊した後、民政移管を目指して軍民が共同統治している。同国外務省は23日、イスラエルとの国交正常化合意について「議会ができてから決定される」と指摘。議会整備など民政移管が済んでいないことを理由に、急がない考えを明らかにした。
イスラム主義者が同国内で一定の力を持っており、イスラエルとの国交正常化に、パレスチナ問題で世論が反発するのを暫定政権が警戒している可能性もある。
国交正常化は、イスラエルが占領するパレスチナの問題を棚上げしてイスラエルを承認することを意味する。孤立感が一段と深まるパレスチナ自治政府のアッバス議長は「パレスチナの地を奪った占領者イスラエルとの正常化合意を非難し拒絶する」と表明した。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの報道官は「政治的な罪だ」と批判した。
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2020-10-24 11:10:00Z
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