Senin, 16 Maret 2020

トランプ、ドイツ社のワクチン独占を画策? - Newsweekjapan

<来るべきワクチン争奪戦の先駆けか>

新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン開発に取り組むドイツ企業に対し、ドナルド・トランプ大統領が「アメリカだけのために」ワクチンを製造させようとした、と報じられた。

ロイターは3月15日、ドイツ政府筋の情報として、ドイツのバイオ医薬品開発企業「キュアヴァク(CureVac)」が開発している新型コロナウイルスのワクチンの権利をトランプ政権が確保しようとしていると報じた。独ウェルト紙日曜版の報道で、ドイツ政府筋は「トランプはキュアヴァクの成果を独占しようとしている。彼はアメリカのためにワクチンを確保するためなら何でもする。だがアメリカのためだけだ」と語ったという。

ホワイトハウスの情報筋は本誌に、トランプ政権はこの報道およびその根拠となる情報を認識していないと語った。本誌は米国務省にもコメントを求めている。

キュアヴァクは3月15日に「現在、噂されている買収の話を否定する」と文書で断言した。

だが、ドイツ経済省の報道官はキュアヴァクを支配しようとするアメリカの動きを阻止することができる、と語った。ロイターの記事によれば、同報道官はドイツ政府の外国貿易法に基づいて、「国家または欧州の安全保障上の利益が危機に瀕している場合」、外国からの株式公開買い付けを精査できることを指摘した。

ドイツ保健省の報道官もロイターに、ウェルト紙の報道は「確認」できると語った。

アメリカから「身を守れ」

キュアヴァクにとって最大の資金提供者である投資会社ディートマー・ホップ・バイオテック・ホールディングのクリストフ・ヘティヒ最高経営責任者(CEO)によれば、同社はアメリカとの独占的な取引を検討していない。ドイツの放送局ドイチェ・ウェレ(DW)は、ヘティヒが「私たちは、特定の国ではなく全世界向けのワクチンを開発したいと考えている」と語ったことを報じた。

DWによれば、キュアヴァクのCEOを務めていたダニエル・メニケラは3月初め、ホワイトハウスで開かれた会議に出席して、トランプやその他新型コロナウイルス対策本部のメンバーらとワクチンの可能性について協議した。数日後、同社のCEOはメニケラから同社創立者イングマール・ホールに変わった。キュアヴァクは、CEO交代の理由を明らかにしていない。

このニュースが報じられるとすぐに、一部のアナリストはトランプを批判した。

「下劣な話だ。ドイツ政府は、トランプがドイツの科学者から開発中のワクチンの独占的権利を得るために賄賂を贈ろうとしたことを確認している」と、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の政治学者ブライアン・クラース博士はツイートした。「トランプはワクチンをアメリカで独占しようとした。アメリカの品位をどれだけ落とすつもりなのか」

ドイツのキール大学安全保障政策研究所の特別研究員マルセル・ディルサスも、このニュースに関連して、トランプは「パンデミック(ウイルスの世界的大流行)の危機に際して、同盟国から総スカンを食らうような方法を必死で考えている」とツイート。さらに「多くのドイツ人が今やアメリカから『身を守る』必要性について話しあっている」と述べた。

<参考記事>新型コロナウイルス、ワクチン実用化は近づいているのか
<参考記事>新型肺炎ワクチン開発まで「あと数カ月」、イスラエルの研究機関が発表

(翻訳:栗原紀子)

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