イギリスでは、相次ぐスキャンダルを受けてジョンソン首相が辞任することを明らかにしました。次の首相は与党・保守党の新しい党首を選ぶ手続きを経て、ことし9月以降に決まるとみられ、後継選びをめぐる党内の駆け引きが今後本格化することになります。
イギリスのジョンソン首相は、新型コロナウイルスの厳しい規制が続く中、首相官邸などでパーティーが繰り返された問題や、与党・保守党の幹部の性的なスキャンダルへの対応をめぐって批判が強まり、7日、保守党の党首を辞任して首相の座からも退くことを明らかにしました。
新しい党首を選ぶ選挙のスケジュールは来週発表され、これまでの例に従えば、選挙に3人以上が立候補した場合は議員による投票を繰り返して2人に絞り込んだうえで、全国の党員による投票が行われます。
イギリスのメディアは、議会が夏の休会に入る今月後半までに候補者が2人に絞り込まれ、ことし9月以降に最終的な投票が行われる見通しを伝えています。
後継の候補者としては、直前に辞任してジョンソン首相の辞任に向けた流れをつくった前の財務相のスナク氏や、新型コロナ対策を指揮した前の保健相のジャビド氏、ウォレス国防相やトラス外相などが有力視されているほか、現職の閣僚からも立候補の意向を明らかにする動きが出ています。
一方で、党内からはジョンソン首相が秋までそのポストにとどまることに反発して、手続きを急ぐべきだという声もあがっていて、党首選挙のスケジュールも含めて党内での駆け引きが今後本格化することになります。
後継に名乗り出る政治家は
▽スナク前財務相は、ジョンソン内閣の主要閣僚でしたが、今月5日、辞表を提出してジョンソン首相が辞任する流れをつくり、株を上げたとされています。
▽ジャビド前保健相は、財務相なども務め政治経験が豊富で、スナク前財務相と同様に辞表を提出したことで後継レースで先行したなどとされています。
▽ウォレス国防相は、ロシアが軍事侵攻したウクライナへの支援で手腕を発揮し、評価が高まっているなどとされています。
▽トラス外相は、保守党内で人気が高い有力政治家の1人で、首相を目指す強い意欲があるなどとされています。
▽ハント元外相は、前回、2019年の保守党の党首選挙でジョンソン首相に次ぐ2位となりました。現在は要職に就いていませんが、影響力を持ち続けているとされています。
専門家「後継者選びが難航する可能性もある」
また、ジョンソン首相の3年間の実績について「EU離脱派にとっては離脱を成し遂げたことが功績と言えるだろう。また、ロシアと戦うウクライナへの支援はすばらしいものだ」と評価する一方、「新型コロナウイルスへの対応はひどいものだった。手遅れになるまで科学的な助言を無視し続けた結果、イギリスは先進国の中でも最も死者が多い国の一つになった」と批判しました。
そのうえで後継者について、政党が党首を交代させる際には前任者と異なるタイプを選ぶ傾向があるとして、保守党は判断や行動が予測可能で信頼できる人物を選ぶだろうという見方を示しました。
ただ「候補者は大勢いるが、十分なカリスマ性を備えた人物はおらず、明確な後継者と言える候補がいないのが保守党の問題だ」として、後継者選びが難航する可能性もあるという考えを示しました。
そしてイギリスではインフレによって生活費が高騰する中、後任の首相は厳しい経済状況をいかに乗り切るかという困難な課題に直面すると指摘しました。
木原官房副長官「両国の関係強化への取り組みに変わりはない」
木原官房副長官は記者会見で「他国の内政について政府としてコメントは差し控えたい。その上で申し上げると、ジョンソン政権のもとで、日英関係はかつてないほど強固となり、自由で開かれたインド太平洋の実現や、G7=主要7か国などを通じて ロシアによるウクライナ侵略への対応など、日英は幅広い分野で緊密に連携している。わが国は引き続き、さまざまな分野で両国の関係強化に取り組んでいくことに変わりはない」と述べました。
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2022-07-08 02:57:10Z
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