【ロンドン=中島裕介】ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、同国の情報機関である保安局(SBU)のバカノフ長官と、検察トップのベネディクトワ検事総長を更迭した。大統領府のホームページで明らかにした。両機関の職員がロシアに協力しているケースが多数あることを理由に挙げた。
欧州メディアによると、更迭されたバカノフ氏は大統領の友人で元ビジネスパートナーだった。ベネディクトワ氏はロシアを戦争犯罪で訴追するための主導的な役割を果たしていた。ロイター通信は2月下旬のロシアの侵攻以来、ウクライナ政権内での「政治的に最大の解雇」と伝えている。
ゼレンスキー氏は17日の声明で、「2人が所属する機関の職員の60人以上が、(ロシアに)占領された地域にとどまり、ウクライナに反抗して活動している」と指摘した。これらの職員がロシア側と関係を持ち、同国に協力していたことも示唆した。「国の機関の全機能は、効果的な指導者がいる場合にのみ機能する」と述べ、更迭の正当性を訴えた。
ウクライナ軍は東部と南部地域でロシアの侵攻に激しく抵抗を続けている。一方で今回の更迭の経緯は、ロシアの支配地域での同国の影響力の浸透を示している可能性がある。
ロシアはショイグ国防相が16日にウクライナに展開する全部隊に対して作戦行動を強化するよう指示。ウクライナ東部・南部への攻撃が激化するとみられている。ウクライナメディアが伝えた地元当局の発表によると、ロシア軍は17日、ドネツク州の激戦地ソルダーなどを砲撃し子ども3人を含む6人が負傷した。ハリコフに近い北東部スムイも爆撃を受けたとしている。
英軍の制服組トップのラダキン参謀長は17日の英BBC番組で、ウクライナ侵攻でロシア兵5万人が死亡または負傷したとの見方を示した。一方で「プーチン大統領が体調が悪いとか、彼が暗殺されるという見方は希望的観測だと思う」と述べ、根拠の薄い楽観論を信じないよう訴えた。
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2022-07-18 00:25:51Z
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