31日、ウラジオストク中心部で抗議デモ参加者とみなされ、警察官に拘束される男性=共同
【モスクワ=石川陽平】ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の釈放を求める2回目の抗議集会が31日、同国各地で始まった。首都モスクワでは中心部が封鎖されており、プーチン政権は強硬姿勢を強めている。米CNNによると、ナワリヌイ陣営は政権関係者に制裁を科すよう求める書簡をバイデン米大統領に送った。
ナワリヌイ陣営が呼び掛ける抗議集会は31日、極東から西部へと順次始まった。インターネットメディアのメドゥーザは、極東ウラジオストクで集まった市民がアムール湾の氷上で「泥棒プーチン」と連呼する映像を流した。
当局の許可は得ておらず、政権側は「違法」として阻止に動いている。モスクワの抗議集会はロシア連邦保安局(FSB)本部や官庁街付近で開かれる予定だったが、治安当局は周辺の道路や地下鉄の駅などを事実上、封鎖した。
警察官に拘束される抗議デモ参加者(31日、ウラジオストク)=AP
すでに各地で多数の拘束者が出ている。ナワリヌイ陣営の地方幹部に対し、支持者が抗議集会に参加しないように圧力をかけたとも伝えられた。
政権が毒殺を図った疑惑が指摘されるナワリヌイ氏は17日、療養先のドイツから帰国直後に司法当局により身柄を拘束された。翌日、30日間の勾留が決まった。2月2日には過去の有罪判決に基づく執行猶予を実刑に切り替えるかどうかを審理する裁判が予定される。
人権団体OVD―インフォによると、前回23日の抗議集会では130を超す都市で4千人以上が拘束された。ロイター通信の推計ではモスクワでは4万人前後が集まり、プーチン体制下では最多の1500人超が拘束された。ナワリヌイ陣営は31日の抗議集会に向けて「(参加者は)もっと多くなる。何も恐れるな」と支持者に呼び掛けた。
ナワリヌイ氏ら調査グループが動画投稿サイトのユーチューブで公表した政権の汚職に関する調査報道「プーチンのための宮殿」は視聴回数が1億回を超えた。
ロシア通信によると、約1400億円を費やしたとされる南部保養地の「宮殿」について、プーチン氏の旧友で実業家のアルカジー・ロテンベルク氏が30日、自分が所有者だと明らかにした。
抗議集会はナワリヌイ氏の釈放だけでなくプーチン氏の辞任も求めるようになっており、政権側は警戒する。抗議集会を前に陣営幹部らへの捜査を拡大し、27日には反体制派の法律家リュボフィ・ソボリ氏らを拘束した。
政権は抗議集会の呼び掛けや連絡に利用されている交流サイト(SNS)のフェイスブックやTikTok(ティックトック)などへの締め付けも強めている。未成年者への集会参加の呼び掛けを削除しなかったとして罰金を科したほか、29日には監督当局が各SNSの代表者を呼び出した。
国際社会も政権への批判を高めている。主要7カ国(G7)外相は26日、ナワリヌイ氏を直ちに無条件で釈放するようロシアに求める声明を発表した。バイデン米大統領も同日、プーチン氏との電話で釈放を求めた。ナワリヌイ氏が率いる「反汚職基金」は29日付で、バイデン氏に政権関係者35人に制裁を科すよう求める書簡を送った。
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2021-01-31 10:25:05Z
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