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【香港=木原雄士、北京=高橋哲史】香港情勢が再び緊迫してきた。11日に各地で民主化を求めるデモ参加者と警察が衝突し、警察が発砲した実弾で男子学生が負傷した。中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)の議論を受け、香港政府は過激なデモへの強硬姿勢を強めている。
「香港人報仇!(香港人、報復せよ)」。11日朝、通勤客で混雑する香港島東部の西湾河(サイワンホー)駅周辺は異様な空気に包まれていた。100人近い若者らが道路をふさぎ、駆けつけた交通警察と対峙した。
香港メディアによると、警察官がデモ参加者を捕まえようともみ合いになり、近づいてきた別の若者に実弾3発を発砲した。撃たれた21歳の男性は重体だという。
主要大学のキャンパスや金融街の中環(セントラル)でも警察とデモ参加者が衝突。言い争いの最中にデモ隊とみられる人に火を付けられた男性も重体となるなど、けが人は64人に上った。株価を示すハンセン指数は前週末比2%超下げた。
抗議活動が激しさを増すのはデモに絡んで大学生1人が8日に死亡し、若者を中心に「反警察」感情が強まっているためだ。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は11日夕に記者会見し、「暴徒の行為は要求を勝ち取る範囲を超え、市民を敵に回している」と述べ、デモ隊の要求を受け入れることはないと強調した。
香港政府が強硬策をとる背景には中国政府の指示がある。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は4日、林鄭長官と上海で会談し、過激な抗議活動を徹底的に取り締まるよう迫った。
4中全会の決定文は「国家の安全を守る法律制度と執行のしくみを確立する」との文言も盛り込んだ。国務院香港マカオ事務弁公室の張暁明主任は9日に発表した文章で「香港はまだ香港基本法23条が定める立法を完成させていない」と指摘した。基本法23条は政治活動や言論の自由を制限する「国家安全条例」の制定を求めた条項だ。
同条例は香港政府が成立を目指したが、2003年に50万人規模の反対デモが起き、撤回に追い込まれた経緯がある。民主派の反発が高まるのは必至だが、中国政府は4中全会の決定を盾に香港政府に制定強行を迫る可能性がある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52044310R11C19A1EA1000/
2019-11-11 12:00:00Z
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