会談を前に握手する茂木外相(右)と韓国の康京和外相(23日、名古屋市)=代表撮影
日韓両国の輸出管理を巡る対立の着地点が見えない。22日、韓国による世界貿易機関(WTO)提訴の手続き中断と両国の政策対話の再開を発表したが、それぞれの正当性について譲る様子はない。韓国が自国の輸出管理改善に意欲を示したと判断したという日本の説明に対し、韓国側は反論した。ともに従来の主張と整合性を欠く説明や国内の反発を招く決断は難しく、歩み寄りは容易ではない。
韓国が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、失効を停止すると発表した22日。日本の経済産業省の担当者は記者会見で、フッ化水素など半導体材料3品目の韓国向け輸出について「今後も個別審査を通じて許可を行う方針に変更はない」と強調した。
2016年夏以来となる政策対話の再開理由については、韓国がWTO提訴の手続きを中断したことを挙げた。この中断により、経産省は「韓国が輸出管理の問題点について、改善に向けた意欲を示していると受け止めることができると判断した」と説明した。
だが、韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は24日、日本側の発表について「事前調整した内容と完全に異なる」と発言。輸出管理の改善に意欲を示しているとみなす説明に疑問を示した。
韓国は自国の輸出管理に問題があるとは認めていない。日本による輸出管理の厳格化は政治的な背景のある措置だと主張し、GSOMIA維持の条件として厳格化の撤回を求めた経緯もある。
これに対し、日本は一連の厳格化について「不適切な事案があった」「韓国側の輸出管理体制に問題点がある」などを理由に挙げてきた。元徴用工問題やGSOMIAなど他の外交案件とは無関係とする主張も変えていない。
政府関係者によると、韓国がWTO提訴の手続き中断を正式に申し出てきたのは22日だった。発表時間と定めた同日午後6時までの間に「韓国との間で発表する文言を詰める作業を徹底した」という。
一方、韓国大統領府関係者は22日、日本が輸出管理の見直しを了解しているように説明している。だが、日本は厳格な輸出管理を維持するという説明を変えていない。
両国は政策対話の再開には合意したが、ともにこれまでと主張や説明を変えるのは容易ではない。日韓は輸出管理以外にも対立を抱えており、それぞれの国内世論をにらみながらの応酬に発展しているもようだ。
政策対話の日程も示されていない。日韓両政府は12月下旬に首脳会談を実現すべく調整に入ることで一致しており、首脳会談の前に開かれる可能性があるが、残る期間は1カ月程度しかない。
韓国を輸出優遇措置の対象となる「グループA(旧ホワイト国)」に戻すための条件として、経産省は25日、自民党の会議で、韓国側の法整備、輸出管理のための人員増強、日韓の政策対話再開の三つを挙げた。
半導体材料3品目への個別許可制を見直す条件については、22日に「健全な輸出実績の積み上げ」を挙げた。
ただ、グループAへの復帰は日本側が再び政令改正をする手続きも必要だ。3品目を包括許可の対象に戻す手続きは通達で済むが、どの程度の輸出実績が積み上がれば見直すのかは日本側の判断次第だ。8月以降、3品目は散発的に輸出許可が出ているが、経産省は実績すら公表していない。
元徴用工問題という日韓の信頼関係に影響する問題も残っており、輸出管理を巡る対立の解消は見通せないままだ。
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2019-11-25 13:20:47Z
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