Kamis, 17 September 2020

ロシアを襲うコロナ禍、毒殺未遂、SDGsの三重苦(JBpress) - Yahoo!ニュース

 (山中俊之:神戸情報大学院大学教授/国際教養作家)  日本メディアでコロナ禍に関するニュースにばかり接していると、世界情勢の重要な動きを見落としてしまう。石油・天然ガスに依存するロシア経済の暗澹たる現状とプーチン政権の行方はその最たるものではないだろうか。 神経剤ノビチョクによって重体に陥った反体制指導者ナワリヌイ氏【写真】  ロシア関連のニュースというと、日本メディアでは北方領土問題ばかりでロシア政治や経済についてはほとんど報じられない。一方、世界のメディアでは、残念ではあるが北方領土はほとんど話題にならない。ロシアが日本に返還する可能性は極めて低いと捉えられているからだ。  ロシア経済は、コロナ禍、反体制指導者ナワリヌイ氏の毒殺未遂事件、環境問題への対応を重視するSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の三重苦により大きな打撃を受けている。  より良い世界を構築するためのSDGsにより経済が打撃を受けているというのは、奇妙な表現である。しかし、化石燃料に依存するロシア経済においては、SDGsは追い風にならない側面もあるためあえてこのような表現を使っている。  この経済的な打撃は、プーチン政権にも大きな影を投げかけている。

■ ナワリヌイ毒殺疑惑がロシア経済に落とす影  ロシアでは、7月の国民投票で憲法改正が圧倒的多数で可決された。プーチン大統領は、2036年まで大統領職にとどまることができる。しかし、そのような体制強化の裏で経済基盤は大きく浸食されている。プーチン大統領は、夜眠れない日々ではないかと推測したくなるほどだ。  まず、ロシア経済は、コロナ禍によって大きく減速した。  ロシアは、新型コロナウィルス感染症拡大により3月末から厳しい都市封鎖を実施した。ロシアの連邦統計局が8月に出した2020年4-6月のロシアの国内総生産(GDP)は、前年比8.5%減少となり、11年ぶりの最低水準になった。  次に、反体制指導者ナワリヌイ氏の毒殺未遂事件が、ロシア経済の生命線ともいえる天然ガス輸出のためのパイプライン敷設に暗い影を落としていることも懸念材料だ。  よく知られる通り、ロシア経済は石油・天然ガスの生産と輸出に過度に依存している。輸出の約6割、政府収入の4割弱が石油・天然ガス関連である。ロシアの石油及び天然ガスの生産量は、2019年においていずれも世界2位である(出典:BP資料)。  ちなみに、1位はいずれも米国である。米国はシェールオイル、シェールガスの産出という「シェール革命」により一気にエネルギー大国にのし上がった。  しかし、ロシアと米国とは随分と事情が違う。  米国が、ITや金融、製造業など世界で競争力ある多様な産業を有しているのに対して、ロシアは石油・天然ガスを除き、国際競争力のある産業は少ない。ロシアは、多くの中東やアフリカの国々と同じく、エネルギー資源産出という一産業分野に過度に依存した一種の「モノカルチャー経済」なのである。  この石油・天然ガス依存経済に、反体制指導者ナワリヌイ氏毒殺容疑が思わぬ影響を及ぼすことになった。  単にプーチン政権の評判が落ちただけでない。天然ガス輸出拡大のための主要戦略の一つであるパイプライン敷設に黄信号がともったからだ。

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2020-09-17 08:12:37Z
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