【ワシントン=永沢毅】米大統領選は11月3日の投開票まで2カ月を切った。米共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領は有権者と直接向き合う「リアル」の選挙活動を拡大し、バーチャル主体の新型コロナウイルス禍の攻防は転換点にある。競り合う激戦州も広がってきた。
トランプ大統領は有権者と直接向き合う活動を重視している=AP
トランプ氏は3日夕、東部ペンシルベニア州を訪れて選挙集会に臨む。ラストベルト(さびた工業地帯)の一角にある同州は両陣営が重視する激戦州だ。「バイデンは(自宅の)地下に閉じこもって文句を言ってばかりだ」。同氏はこれに先立ち、ツイッターにこう投稿してバイデン氏への攻撃を繰り広げた。
トランプ氏は新型コロナの感染再拡大でいったん凍結した集会を8月中旬に再開した。訪れたのは7州を数え、激戦州への訪問は9月に入って3日連続となる。「候補者が有権者に実際に姿をみせるのが、支持獲得に最も有効だ」(共和党の選挙アナリスト、アダム・メルドラム氏)との判断が背景にある。
トランプ氏はコロナ前は1万人以上を集めた集会で支持者を鼓舞し、求心力を高めてきた。現在は集会の規模を数百人から1000人台にとどめている。集会ではマスクを着用せず、社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)も確保していない支持者が目立つ。
政治サイト、リアル・クリア・ポリティクスがまとめる各種の世論調査平均でトランプ氏はバイデン氏に7.2ポイントのリードを許す。10ポイントを超えていた一時よりも差は縮んだが、「リアル」の選挙活動の強化で追撃する。
地元の東部デラウェア州の自宅を舞台にほぼバーチャルだけの選挙戦を進めてきたバイデン氏。トランプ氏の追い上げを受けて方針転換を迫られつつある。
バイデン氏は3日、警官による黒人男性の銃撃事件があった中西部ウィスコンシン州を訪れ、男性の家族と面会した。事件の現場に近い同州ケノーシャの教会では黒人指導者らとの会合に出席し「憎しみは克服できる」と述べ、人種差別の解消を訴えた。
民主党のバイデン前副大統領は有権者と対面する選挙活動にも力を入れ始めた(中西部ウィスコンシン州ケノーシャ)=ロイター
リアルの選挙活動の再開には、全米でコロナの感染拡大が一服しつつあることもある。バイデン氏は8月31日にも東部ペンシルベニア州で会場には支持者を入れずに演説した。選挙集会も近く再開する方針で、有権者との接点の拡大を探る。
終盤に入り、両氏が支持を競い合う激戦州の戦線も拡大してきた。今回は中西部ミシガンや同ウィスコンシンなど計6州がその主な舞台とみられてきた。これに加え、複数の他州で両陣営が勝機を見込んで攻め入る。
その典型が1972年大統領選を最後に共和党が勝ったことがない民主党地盤の中西部ミネソタ州だ。5月に州最大都市ミネアポリスでおきた白人警官による黒人暴行死を機に治安対策が争点に浮上し、「法と秩序」を掲げるトランプ氏が攻勢をかけている。8月下旬の一部の世論調査ではバイデン氏と支持率で並んだ。
16年大統領選でトランプ氏は敗れたが、1.5ポイントの僅差だった。ビル・ステピエン選挙対策本部長は「ミネソタは十分勝てる可能性がある」とみる。同氏によると、投開票日までにバイデン氏が同州でテレビ広告に投じる費用は300万ドル(約3億円)にとどまる見通しだが、トランプ氏陣営は1400万ドル(約15億円)にのぼる。
トランプ氏は16年大統領選で同じく0.37ポイントの差で敗北した東部ニューハンプシャー州にも触手を伸ばす。8月末に選挙集会を開いた。
一方、バイデン氏は南部テキサスや同ジョージア両州といった共和党の地盤にも照準を定め、テレビ広告の放映枠を予約した。テキサスでは移民を中心にヒスパニック系の人口が急増しており、米国勢調査局は22年にも人種別で白人を超えて最大になると予測する。
白人有権者の減少は共和党には不利に働く。民主党の攻勢にはこうした人口変動の影響もある。
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2020-09-03 21:12:35Z
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