Rabu, 05 Februari 2020

米民主、本命不在の混戦に ブティジェッジ氏リード - 日本経済新聞

ブティジェッジ氏は途中段階の集計で首位に立った=ロイター

ブティジェッジ氏は途中段階の集計で首位に立った=ロイター

【ワシントン=永沢毅】11月の米大統領選に向けた野党・民主党の候補者選びの初戦、中西部アイオワ州党員集会は穏健派の前インディアナ州サウスベンド市長、ピート・ブティジェッジ氏(38)が途中段階の集計で首位に立った。僅差で左派のバーニー・サンダース上院議員(78)が追う構図だ。穏健派のジョー・バイデン前副大統領(77)は4位と苦戦し、本命不在の混戦を予見する波乱の幕開けとなった。

「知名度も資金もなく選挙戦を始めたが、驚くべき勝利なのは否定しがたい」。ブティジェッジ氏は4日、次戦の舞台となる東部ニューハンプシャー州で支持者を前に事実上の勝利宣言をした。開票率71%で順位は入れ替わる可能性もあるが、世論調査の平均支持率で5位にとどまる同氏の大健闘は全米を驚かせた。

躍進の一因は、初戦のアイオワに集中する選挙戦略が奏功したためだ。現時点で得票率上位の4人でみると、ブティジェッジ氏のアイオワでの滞在日数とイベントの開催数はともにトップ。州での広告費も1030万ドル(約11億円)と首位のサンダース氏(1080万ドル)とほぼ肩を並べる。

左派候補が唱える国民皆保険の導入に懐疑的な姿勢を示すなど、現実的な政策を志向する立場はバイデン氏と重なる。米紙ワシントン・ポストによる党員集会への「入り口調査」では穏健派からの支持を両氏は25%ずつで分け合った。ブティジェッジ氏は同性婚のパートナーを持つが、保守的な有権者が多い郡部でも支持を集めた。

バイデン氏は息子が絡む「ウクライナ疑惑」も微妙に影響している可能性がある。党員集会でブティジェッジ氏を支持したパブ・イベット氏は「バイデン氏は高齢だし、疑惑を抱えるので大統領選が泥仕合になる」と指摘した。

一方、大学無償化や大規模な企業増税などリベラル色の強い政策が売りのサンダース氏が支持を集めるのは、格差拡大に不満を持つ若者を中心に社会の変化を求める声が強まっている現状を映し出している。入り口調査では17~29歳の有権者の半数近い48%がサンダース氏を選んだ。格差是正を重視する有権者でもサンダース氏を選んだ割合が31%と最多で、同じ左派のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)が26%で続く。

ただ、左派候補が本選でトランプ大統領に勝てるかを疑問視する向きも多い。16年大統領選でトランプ氏を支持した激戦州ミシガン州などの中西部の白人労働者層は、リベラルな政策を敬遠する傾向が強いためだ。ジョージ・ワシントン大のフランク・セスノ氏は「(サンダース氏では)トランプ氏に勝利することが極めて難しく、16年にあった党の分断が再びおきかねない」とみる。

次戦ニューハンプシャーではサンダース氏が優位に立つが、バイデン氏は2月末の南部サウスカロライナ州予備選で戦いを有利に進める。黒人票が多い地域で、黒人のオバマ前大統領を支えた実績が評価されているためだ。党を二分する穏健派、左派の双方で主導権争いは激しさを増している。「打倒トランプ」を目指す選挙戦は本命不在のまま長期化する可能性が出てきた。

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2020-02-05 08:00:00Z
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