【サンパウロ=外山尚之】ベネズエラの野党指導者グアイド国会議長が4月30日に呼びかけた事実上のクーデターは同調する軍人が一部にとどまり、不発に終わりつつある。独裁体制を固めるマドゥロ政権に追い詰められた野党陣営の「賭け」は自らを窮地に追いやる結果となった。野党陣営は1日、大規模デモを計画するが、政権打倒の道筋は見えにくくなった。
グアイド氏は4月30日早朝、カラカスの空軍基地で軍人の集団とともに蜂起を発表した。ツイッターを通じ、全国の軍人に支持を呼びかけた。しかし、同氏の期待に反して大規模な離反は起こらず、軍の大半はマドゥロ大統領の指示に従い、ゴム弾や装甲車などを用いた反政府デモの鎮圧に動いた。
1日未明時点でグアイド氏を支持する一部の軍人は高速道路を占拠するなど、抵抗を続けているとみられる。ただ、グアイド氏とともに立ち上がった野党指導者のレオポルド・ロペス氏は4月30日午後、チリ大使館に保護を求め、その後にスペイン大使館に移動。今回の動きに同調した25人の軍人もブラジル大使館に身を寄せるなど、発起人が逃亡している。
野党陣営が事実上のクーデターに踏み切った背景にはグアイド氏の焦りが透ける。1月に暫定大統領への就任を宣言し、米トランプ政権の後ろ盾を得たグアイド氏は50カ国以上から支持を集めたが、大半の軍や政府高官はマドゥロ政権を支持する姿勢を崩していない。
マドゥロ政権は1月末に米国が発動した石油産業に対する経済制裁で外貨獲得手段を失い経済的に追い詰められたが、ロシアやキューバの支援で表面上は立ち直りつつある。2月に米国の支援物資搬入を阻止し、野党陣営の勢いをそいだ。
マドゥロ政権は3月にグアイド氏の側近を逮捕したほか、4月には全議員が与党で構成する制憲議会を通じグアイド氏の不逮捕特権を剥奪するなど、圧力を強めている。「グアイド氏の逮捕の準備を進めているという情報が流れていた」(現地ジャーナリスト)という環境下、グアイド氏は軍の支持を得られるか不透明な段階で蜂起せざるを得なかったという。
グアイド氏は4月30日夜、ツイッターに動画を投稿。同日の取り組みは政権打倒に向けた第一歩だとして、「すべてのベネズエラ国民よ、街頭に出よう」として引き続き反政府デモに参加するよう、国民に呼びかけた。これに対して、マドゥロ氏は同日夜、テレビ演説で「彼ら(野党陣営)は失敗した」と勝利宣言した。デモ隊への圧力を強める可能性もある。
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2019-05-01 08:21:00Z
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