【カイロ=上地洋実】レバノンのディアブ首相は7日、9日に償還期限を迎える12億ドル(約1260億円)の外貨建て国債について、支払いを延期すると表明した。レバノンがデフォルト(債務不履行)に陥るのは不可避となった。
レバノンは、会社法違反(特別背任)などで起訴された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の逃亡先だ。ディアブ氏はテレビ演説で、「債務がレバノンの返済能力を越えるほど巨大化している」と述べ、外貨準備高不足を理由に12億ドルの債務返済を見送るとした。レバノンのデフォルトは初となる。4月と6月にも計13億ドル(約1370億円)の国債償還が控えており、レバノン政府は今後、返済繰り延べなど債務の再編に向け、債権者との交渉に臨むとしている。
汚職や経済低迷で財政不安に直面するレバノンは、国内総生産(GDP)の170%に達する公的債務を抱えている。昨年10月には、政府がスマートフォンの通話アプリに課税しようとして反政府デモが広がり、ハリリ前首相が辞任する事態に発展した。デモは現在も収束しておらず、銀行が預金の引き出し規制を行っているほか、通貨は大幅に下落し、インフレ率も急騰している。こうした事態を受け、世界銀行は、貧困率が40%以上になると警告している。
債務再編と合わせ、政府は厳しい緊縮策にも取り組むとしている。しかし、国民生活がさらに苦しくなれば、政治や経済の混乱が一層加速する恐れがある。
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2020-03-08 10:36:30Z
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