[ブリュッセル 16日 ロイター] - 11月の米大統領選に向け、ウクライナ支援に反対姿勢を示すJ・D・バンス上院議員が共和党の副大統領候補に選ばれたことで、欧州当局者の間で警戒感が強まっている。
選挙戦でトランプ前大統領が返り咲きを果たせば、トランプ・バンス政権の下、米国がウクライナ支援を打ち切るか縮小し、ウクライナが和平交渉に追い込まれることが懸念されている。
ドイツのショルツ政権の一端を担う「緑の党」のラング共同党首は、バンス氏の副大統領候補への指名について「欧州にとり憂慮すべきこと」と述べた。
バンス氏は今年2月のミュンヘン安全保障会議で、ロシアのプーチン大統領は欧州にとり実存的な脅威ではなく、欧米がウクライナの勝利のために十分な軍事支援を供与することできないと主張。米国の戦略的優先事項はアジアと中東にあると示唆していた。
緑の党のラング氏はこうしたバンス氏の見解について、トランプ、バンス両氏がいかに早く「ウクライナをプーチン氏に引き渡す」かを浮き彫りにしていると述べた。
ドイツ社会民主党(SPD)のシュミット外交問題報道官もロイターに対し、「バンス氏はウクライナ問題でトランプ氏よりも過激な立場を取っており、軍事支援の終了を望んでいる。外交政策の点では、トランプ氏よりも孤立主義的だ」という認識を示した。
バンス氏は今年4月に米国で成立したウクライナ支援法の採決で反対票を投じた。2022年には「ウクライナで何が起ころうと、あまり気にしていない」と述べていた。
しかし、ラストベルト(さびた工業地帯)と呼ばれるオハイオ州の貧しい労働者階級出身のバンス氏について、性急に結論を出すことを警告する声もある。
ウクライナ支援を訴える米国拠点の慈善団体「ラゾム・フォー・ウクライナ」の幹部は、バンス氏の生い立ちを考えれば「米国のウクライナ支援が唯一の選択肢と結論付けるのではないか」とし、「副大統領としてバンス氏の見解が進化していくことを期待している」と述べた。
フランスの外交官も、米大統領選はまだ終わっていないと強調。「自己達成的な予言を作り出すのをやめる必要がある。トランプ氏はまだ勝ってはいないし、バイデン氏は負けてない」とくぎを刺した。
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2024-07-17 00:16:00Z
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