イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への侵攻開始から、7日で半年となった。大阪市のJR大阪駅前には毎夜、プラカードや旗などを持って停戦や虐殺中止を訴える人たちがいる。その一人、大阪府内の北摂地域在住の40代の会社員女性は、イスラエルにいる友人とのかみ合わないやりとりに悩んでいた。
なぜ、駅に立つようになったのか
2023年10月7日、イスラム組織ハマスによる攻撃があった。女性は、すぐにその友人である中年男性に連絡を取った。妻や2人の子どもも無事でほっとした。約8年前に旅行したチベットで結婚前の2人に会った。高原を歩き、杉原千畝の話をしたり、イスラエル国歌を口ずさんだりして仲良くなった。「軍の招集は断って。あなたが殺したり、殺されたりしてほしくない」と伝えた。
ところが、侵攻が始まるとガザ地区の市民に大きな犠牲が出始めた。「見過ごせない」。女性は11月初旬に「パレスチナを解放せよ」と英語で書いた段ボールを持ち、駅前に立ち始めた。イスラエルの友人にも「罪のない子どもを殺さないで」とメッセージを送った。すると「罪のない子どもを故意に殺す人はいないが、子を抱えたテロリストに銃で狙われたら、あなただって撃つだろう」と反論された。
侵攻を機にパレスチナについて詳しく知るようになった。イスラエルは1948年に建国され、元の住民70万人以上が難民に。1967年にガザ地区を占領するなど、パレスチナ人が抑圧されてきた歴史があった。女性はパレスチナ人と仲良く暮らす方法を模索したらと友人に伝えたが、「ムスリムにもいい人はいるが、共存は難しい」と返ってきた。
友人との間に溝
侵攻で住民は飢餓状態に陥り、ジェノサイド(集団虐殺)を懸念する声が高まっている。友人は「あなたがジェノサイドだと感じるのは分かるが、そうであるかどうか議論はしない。全てが終わり脅威がなくなれば、事実を話せる」とメッセージを送ってきた。終わるとは「ガザ滅亡」を意味するのか――。親しい友人との間に大きな溝が現れていた。「話が通じないのが悲しい。停戦したら平和について語り合いたい」
女性はほぼ毎日、午後7時から同9時まで駅前に立つ。自宅から通う電車定期券の更新は5回を数える。毎月悩みながら更新する。「もうやめたい。今日停戦したらやめられるのに」
立つ人が増え、思いを共有できることに救いもある。「立つことに意味があるのかと思うこともあるが、パレスチナとイスラエルの友人のため、停戦を求めて立ち続けたい」【矢追健介】
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2024-04-07 08:38:59Z
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