パレスチナ自治区ガザの病院爆発にアラブ諸国首脳から非難が相次いでいる。それでもイスラエルのネタニヤフ首相は、同地域を実効支配するイスラム組織ハマスへの攻撃計画をやり遂げると明確にした。
17日夜にガザ市の病院で発生した爆発はパレスチナ人数百人の死者を伴い、人道危機の懸念をいっそう強めた。イスラエル軍は、病院の爆発はパレスチナの過激派武装組織「イスラム聖戦」のミサイルが誤って命中したためだとする証拠の動画などを公開した。
米国と欧州連合(EU)がテロ組織に指定するハマスは、病院爆発の惨事はイスラエル軍の空爆によって引き起こされたと主張。この見方は中東全域に広がり、アラブ数カ国の首脳はすぐさまイスラエルを非難した。アラブの首脳らはヨルダンで予定されていたバイデン米大統領との会談もキャンセルした。
ネタニヤフ首相の側近、オフィール・ファーク氏は「目標は明確で、依然変わらない。ハマスの壊滅だ。われわれはそれを果たす」と電話で明言した。
イスラエル当局が記者団に公表した証拠の一つは、ハマス工作員の会話とされる音声だ。工作員の2人はいずれも、爆発が空爆ではなく、イスラエルとは逆側からの攻撃で起きたと話している。この音声記録が事実かどうか、ブルームバーグは確認できていない。
バイデン米大統領は18日、テルアビブ到着後に会談したネタニヤフ首相に対し、「私が確認した内容に基づくと、イスラエルでなく別の組織が引き起こした様子だ」と語った。
バイデン氏は今回、3つの目標を持って中東を訪問した。ハマスによる7日の奇襲攻撃を受けてイスラエルへの支持を示すこと、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの参戦を防ぐこと、アラブ世界を米国の見解に引き入れることだ。
だが、病院爆発で3つ目の目標は困難になった。爆発直後にパレスチナ自治政府のアッバス議長はヨルダン川西岸地区へと戻り、ヨルダンのアブドラ国王は同国首都で行われるはずだったバイデン氏との首脳会談を中止した。
さらに世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は民間人と医療機関の即時保護を求め、ガザ北部の110万人にイスラエルが通告した退避勧告の撤回を訴えた。トルコのエルドアン大統領も「イスラエルの前例のないガザでの蛮行」をやめさせる行動を呼び掛けた。
ネタニヤフ首相の側近は「病院で何が起きたか、事実を速やかに提示できるよう努めている」と述べた。
問題は、バイデン氏を迎えているイスラエルが姿勢を考え直す可能性がどれほどあるかだ。
現時点の状況証拠に基づくと、その可能性はあまりなさそうだ。過去最多の40万人に及ぶ予備役を招集し、ガザの隣接地に軍事作戦拠点を設置、空爆を依然繰り返すイスラエルは、退避勧告を撤回していない。目標は7日のような行動を二度ととれないようハマスの能力を壊滅させることだと、イスラエル当局者は全員が口をそろえる。
ただ、バイデン氏のほかイスラエルを訪れたドイツのショルツ首相、近く訪問を予定するフランスのマクロン大統領ら、相次ぐ首脳の行動が地上侵攻を遅らせている可能性はある。
匿名を要請したイスラエル当局の最高幹部は、ガザの病院爆発がイスラエルの誤射によるものであれば、地上侵攻の計画を危うくしていたかもしれないと電話で述べた。イスラエルがレバノンで戦っていた1996年と2006年にイスラエル軍が誤って多数の民間人を殺害し、軍事計画を断念した前例もある。
イスラエルは今回の病院爆発が自らの誤射ではないと示すことができたため、この出来事が転換点になることはないと、同幹部はみている。ヒズボラは病院の惨劇を参戦の理由として利用するかもしれないが、アラブ首脳はいまやイスラエルに責任はないと理解しており、それが舞台裏での首脳らの行動に影響するだろうと、この幹部は続けた。
原題:Israel’s Aim to Enter Gaza Undeterred by Hospital Blast (1)(抜粋)
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2023-10-18 15:58:00Z
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