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イスラエル国防軍(IDF)は28日、前日から夜通しかけて「戦闘機約100機」がパレスチナ自治区ガザ地区で、同地区を実効支配するイスラム組織ハマスの拠点数百カ所を空爆したと明らかにした。夜にかけて地上部隊がガザ北部に入ったことも認めた。ガザでは前日から通信が遮断され、外部と連絡がとれない状態になっている。
イスラエル軍はソーシャルメディア で、ギラド・ケイナン空軍准将の話として、「今晩の攻撃飛行で戦闘機約100機が、テロ組織ハマスの数百の標的を破壊した」と明らかにした。准将は「目標は明確だ。ハマスの手が触れたものはすべて破壊する」としている。
IDFはさらに、ガザ北部の地下にある150カ所の標的を攻撃したと明らかにした。「テロのトンネル、地下の戦闘スペース、その他のインフラ」が標的に含まれていたという。
IDF報道官のダニエル・ハガリ少将は28日の記者会見で、夜の間に地上部隊がガザ北部に入り、「今も現場に展開している」と認めた。
ハガリ少将は、複数のハマス司令官を夜間の作戦で殺害したことも明らかにした。
少将はさらに、28日中には食料と水の援助物資を載せたトラックがガザに入ると明らかにした。
イスラエル軍の被害については、今月7日のハマス奇襲以来、イスラエル軍は兵311人を失ったと確認したほか、最新の夜間作戦でもイスラエル軍に死傷者が出ていると明らかにした。
7日の奇襲でイスラエルから拉致された229人が今もガザで人質にされていることも、少将は認め、「拉致被害者の帰還は、最高峰の国家的な取り組みだ。作戦も情報収集も、我々の活動すべてが、この目標実現に向けられている」と述べた。
ハガリ少将はさらに、「我々は自ら設定し、他者によって明確化した目標に向かって取り組んでいる。ハマスの解体、境界の安全保障、そして拉致被害者の奪還へ向けた国家的努力だ」とも話した。
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IDFはこれに先立ち、ハマスによる空からの作戦を指揮した司令官を27日夜から28日にかけて殺害したと明らかにしていた。IDFはソーシャルメディア で、「IDF戦闘機は夜にかけて、ハマス空襲隊のトップ、アセム・アブ・ラカバを攻撃した。アブ・ラカバはハマスの無人航空機、ドローン、パラグライダー、空からの探知や防衛の責任者だった。10月7日の虐殺の計立案に関与し、パラグライダーでイスラエルに侵入したテロリストを指揮し、IDF拠点へのドローン攻撃の担当だった」と書いた。
IDFは27日には、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区への地上作戦を「拡大している」と発表したものの、ハマスとの軍事衝突以降予想されてきたガザ地区への地上攻撃の開始を意味するのかどうかは明言を避けていた。
一方でハマスは、同地区北部でイスラエル側と衝突が発生したとしていた。
「完全なカオス」=BBC記者 ガザ南部ハンユニスで取材するBBCのラシュディ・アブ・アルーフ記者は28日、「かつてない規模の巨大な空爆が、ガザ北部であった。「巨大な炎が空に立ち上るのが見えた。複数の異なる種類の爆弾を使っているようだった」と報告している。
ガザ地区は、東西に約10キロ、南北に約45キロの広さ。
アブ・アルーフ記者が取材する病院では、タクシー運転手たちが、誰とも連絡がとれないため、ただ爆発の方向へ向かうのだと話していたという。
「ここハンユニスは北部に比べて爆撃は少ないものの、電話が通じない状況で他の地域にいる家族の安否を確認しようとする人たちで騒然として、あちこちがパニック状態だ。完全なカオスだ」と、記者は報告した。
通信遮断で夜間の状況把握できず これに先立ち27日にはガザ地区の通信網が遮断され、住民と連絡が取れなくなった。
ガザ市民を支援する医療援助団体は、インターネットと電話通信が完全に遮断され、現地にいるチームと連絡が取れていないとしている。
非営利民間団体「国境なき医師団(MSF)」は、ガザ地区にいるパレスチナ人同僚の一部と連絡がとれなくなったと明らかにした。MSFはソーシャルメディアで「(ガザ市の)アル・シファ病院など医療施設に避難している患者や医療スタッフ、多くの家族のことがとりわけ心配」だとして、「ガザ地区全体ですべての医療施設とスタッフ、民間人を無条件に保護するよう求める」と呼びかけた。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の上級調査員は、ガザ地区における「ほぼ全面的な通信遮断」が、「大規模な残虐行為」の隠れみのになる可能性があると警告した。
HRWのテクノロジーと人権担当のデボラ・ブラウン上級調査員は、オンラインに掲載された声明で、「この情報遮断は大規模な残虐行為の隠れみのとなり、人権侵害を行った者が処罰を受けずに済むことにつながる危険性がある」と述べた。
これに先立ち、アメリカに本部を置くジャーナリスト保護委員会(CPJ)も、同地区の通信回復が必要だと強調。世界はこの紛争の「現実を知るための窓を失っている」とした。
ガザ地区から発信される情報の欠如により、「致命的なプロパガンダや偽情報、誤情報がまん延する可能性がある」とCPJは付け加えた。
CPJの声明はまた、7日のハマスによるイスラエル奇襲を機に始まった軍事衝突で、現場を取材していたジャーナリストがこれまでに29人死亡したとしている。
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ディナール少佐は、「我々の兵と戦車はガザ地区内にいる。銃を発砲し、活動している」、「しかし、我々の兵と戦車は昨日もガザ地区内にいた」と述べたという。
BBCは、ガザ地区での「作戦拡大」は、軍事衝突以降に予想されてきた同地区への地上攻撃の開始を意味するのか、イスラエル政府のエイロン・レヴィ報道官に尋ねた。
レヴィ氏は、「イスラエルはガザ地区での地上作戦を拡大したが、それ以上のことは、作戦に関してはコメントするつもりはない」と答えるにとどめた。
ニューヨーク・タイムズが発言を報じたイスラエル軍のディナール報道官も、地上攻撃の開始については明言していない。
ハマス側は、ガザ地区北部の2地域で、ハマスの戦闘員とイスラエル軍の衝突が起きたとしている。
同組織の軍事部門として知られるアル・カッサム旅団は、ガザ地区北部でイスラエル軍による地上侵攻に対峙(たいじ)していると発表した。
ハマスの声明によると、北部ベイト・ハヌン近くと中部ブレイジ近くで「暴力的な交戦」が起きている。具体的にどのようなかたちで衝突が起きているのかは明らかにしていない。
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国連、「人道的休戦」求める決議採択 こうした中、国連総会(193カ国)は27日、ガザ地区情勢についての緊急特別会合を開き、「人道的休戦」を求める決議案 を圧倒的多数で採択した。決議に法的拘束力はないが、190カ国以上が加盟する国連の総会による決議としての道徳的重みがある。
決議案はアラブ諸国を代表してヨルダンが提案したもので、「テロと無差別攻撃」を含むパレスチナとイスラエルの民間人に対するすべての暴力行為を非難している。
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アメリカは決議に反対したが、イスラエル軍のガザ地区での軍事作戦の「人道的な一時停止」を求めた。
イスラエルのギラド・エルダン国連大使は、国連にはもはや「正当性や妥当性のかけらも」ないと反発し、「国連と人類にとっての暗黒の日」だとし、イスラエルはハマスとの戦闘で「あらゆる手段」を用いると述べた。
また、決議案に賛成した国々はイスラエルよりも、「ナチス・テロリストの擁護」を支持したのだと非難した。
エルダン大使はこれまでに、ガザ地区の状況を「国際人道法違反」だと発言する国連のアントニオ・グテーレス事務総長に辞任を繰り返し要求している 。
グテーレス氏は24日の安全保障理事会 で、ハマスによるイスラエル襲撃を明確に非難しつつ、それは「何もない状況から急に起こったわけではない」と発言。「パレスチナの人々は56年間、息のつまる占領下に置かれてきた」とした。
これに対しエルダン大使は、事務総長が「テロを正当化している」と反発。グテーレス氏の即刻辞任を求めた。
ニューヨークではユダヤ系住民が停戦要求 画像提供, Getty Images
国連本部から1キロと離れていないニューヨークの中央ターミナル駅、グランドセントラル駅では27日、中央コンコースにユダヤ人団体「平和を求めるユダヤ人の声」が集まり、ガザでの即時停戦を求めた。
パレスチナ人の権利を擁護するユダヤ系アメリカ人が集まるこの小規模グループは、「緊急座り込み」を実施。毎日約75万人が利用する駅の構内で撮影された映像から、ニューヨーク市警が数人に手錠をかけて連行する様子がうかがえる。
駅を管理する大都市交通公社(MTA)は、ターミナルの利用を一時停止すると発表した。再開のめどは明らかになっていない
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2023-10-28 06:10:38Z
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